3月例会報告「これからの天理市政」
政策研究ネットワーク「なら・未来」の例会が、3月24日に行われました。今回のゲストは、天理市の並河健市長です。昨年の10月28日、35歳で天理市長に就任されました。市長の主な発言や質疑応答の概要は、次のとおりです。
<並河市長の講演要旨>
(1)天理市の現状
1・人口構成
- 人口減少(現状6万8000人弱)
- 30代が少ない。10代・20代は県内他都市と比較して多い。
- 高齢化の状況も地域により様々。
2・財政
- 経常収支比率が100.5%で、県下でワースト1位
- 一般会計の予算規模は236.6億円だが、天理教からの寄付金が10億円ある(15億円の時もあった)。これを入れると、経常収支比率は94%弱で県内平均となる。
- 財政力指数は0.5〜0.7程度。
(2)まちづくり
1・天理市の特性
2・天理市の特性をまちづくりに生かすためには
- 広報力、ブランディング(ブランド力の強化により、認知度やイメージの向上を図る)の強化が必要。
(3)行財政改革
1・「出」を制し「入り」を量ること
- ファシリティ・マネジメントの推進
…公共施設が今後一気に老朽化→公のストックを洗い出して一元管理。早稲田大学との官学連携により、公共施設のあり方を2年間かけて検討する。
- 空間を一緒にすることによる相乗効果を目指す。
(例)市立病院をメディカルセンターに改編し、休日診療所を一体化。
2・行政評価
3・人事評価
- KPI(目標の達成度合いを計る定量的な指標のこと)も言われているが、じっくり話し合って目標設定して評価していきたい。
4・定住自立圏
(4)街づくり協議会
新年度早々に次の3地区で立ち上げたい。
- 市民の有識者を活用したモデル授業など。
(6)市役所の機構改革(縦割りの弊害を減らす)
- 商工課と観光課を統合して産業振興課を新設。
- 企画政策課と行政改革推進課を統合し、市行政の司令塔として総合政策課を設置。
- 横断的な取り組みが必要なテーマについては積極的にプロジェクトチームを組織。
<質疑応答の概要>
- (Q)なぜ外交官から市長に?
(A)内政と外交は無関係ではなく、外交官が赴任地で仕事をするには日本についての深い知識が不可欠。国のさまざまな仕組みについて学ぶうちに、地域の特色を生かしたまちづくりへの興味が増していった。
- (Q)まちづくり協議会のイメージは。
(A)各種団体の代表者に参加していただき、市民による議論をベースにまちづくりを進める。私自身、選挙活動の中でもミニ集会を多数行うなど市民との話し合いを重視しており、今後はタウンミーティングも積極的に行っていく。
(話し合いが事業の進捗に結びついた例)
*小学校の建て替えにあたって、地域の方々の話を聞くことにより、50か月かける計画を短縮し、改修で済むところは改修にすることで財政負担も減らした。
*活用されていない工業団地用地について、担当課や活用案も今までごろごろ変わるため、実態上放置されてきた土地に、市長と地元の話し合いにより、メガソーラー用地として活用する案が確認された。地元からは、市長と向き合って話をしたのは、半世紀ぶりと言われた。トップが直接確認することも必要。
- (Q)地域自治に対して。
(A)
- SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)を活用。
- 例えば、市民主導のイベントへの協力・参加について、「公は公正中立でないといけない」という考え方は古い。市民の力を引き出すためには、公序良俗に反しない限り、できるだけ広く門戸を開いておきたい。
- 市民の方々も行政を上手に使っていただきたい。
- (Q)市長と職員の関係(職員への意思の伝え方)
(A)
- 一緒に目標設定を行うことなどを通じて、風通しのいい関係性を作る。
- 職員は市長と積極的に話をして、うまく使ってほしい。
- 公務員時代に、担当の考えを尊重されないとやっていけないと思った。それは、担当の方が圧倒的に情報量が多いから。