なら・未来 5月例会
「家庭ごみの有料化の現状と論点」
発表者 ゴミ減量ネットワーク   北井 弘


講演概要  
資料抜粋

 ・有料化の定義
  家庭系可燃ごみの定日収集処理について、市区町村に収入をもたらす従量制手数料を徴収すること
  (東洋大学 山谷修作教授による定義)
 ・有料化の法的根拠
  廃棄物処理法第5条の2第1項の規定
  「(市町村)は経済的インセンテイブを活用した一般廃棄物の排出抑制や再使用、再生利用の推進、排出量
に応じた負担の公平化及び住民の意識改革を進めるため、一般廃棄物処理の有料化の推進を図るべきであ
る。」
 ・有料化の方式
  指定袋制とシール性があり、現在は圧倒的に指定袋制が多い。
  手数料のかけ方   ①単純従量制 ② 超過分有料制 ③累進有料制 ④定額制
 ・有料制の現状
  有料化実施自治体数と実施率(2015年4月現在)(山谷教授調べ)
    ※全国
区  分 総   数 有料化実施数 有料化実施率
市 区 813 457 56.2%
町 745 518 69.5%
村 183 119 65.0%
合 計 1741 1094 62.8%
    ※奈良県
区  分 総   数 有料化実施数 有料化実施率
市 12 7 58.3%
町村 27 21 77.6%
合 計 39 28 71.8%
      (私見: 思っていたより実施自治体が多い。奈良県自治体は比較的過去
       いろいろな施策が遅れてきていることが多いがこれは注目すべきことかな)
   ・奈良県下 市民一人当たり一日排出量
      奈良市       506gで最市下位
      有料化実施自治体  下位グループに位置    
      多いところ     731g
      (・・・・・・・奈良市の計数は正しいのかなと笑い声)
   ・有料化による減量効果
    有料化後の家庭ごみ排出量は減少している。 指定袋が高い程、効果は大きい。





   ・有料化とゴミ処理経費の関係(山谷教授の見解)
     有料化に伴って、ごみ処理量が減り、必要収集車両台数も減ることになれば、収集運搬経費の軽減に
つながる。しかし、ごみが減っても収集する世帯数やステーション数が減らなければ車両台数は変
わらず経費削減につながらない。
中間処理経費も固定経費部分が多いので、ごみ量が多少減っても経費削減効果は薄い。だた、数値的にはそれほど大きいものではない。電力費、燃料費  薬剤費は削減できる。
最終処分費については、特に域外に処理委託をおこなっている自治体の場合、ごみ量減少により経費
削減効果が大きい。
   ・有料化反対論
     1 有料化は地方自治法に違反している。
     2 有料化は税金の二重取りである。
     3 有料化は恒常的なゴミ減量にならない。
     4 有料化すると不法投棄が増える。
     5 有料化は発生抑制につながらない。という意見がある。
   ・家庭ごみ有料化のまとめ 1
● 有料化は本来、市民サービスに関する負担の在り方を「税による一律負担から」「受益者負担」に転換するという大きな意味を持つ政策である。
● しかし、現実的には負担額がゴミ処理経費の1〜2に割程度(世帯当たりの負担額1ヵ月あたり300円から500円程度)にとどまっていることもあって、ごみ袋の値段が少し上がる程度の問題として捉えられていることが多い。
● ただ、ごみ分別に関する説明会や出前講座を催しても参加しないような無関心層をごみ問題に向けさせるという意味では、一定の有効性を持つ
   ・家庭ごみの有料化のまとめ2
● 有料化は「ごみ減量の経済的インセテイブ」と説明されるが、それだけでは消費者が馴れてしまい、ごみ減量は長続きしない。
● 有料化が成功するためには、次の二つが不可欠
①  行政と市民の信頼関係。
②  「なぜ ゴミ減量が必要なのか」について市民と行政の意識共通。

出席者よりの発言(今回は参加者20名でした)
●  ゴミ問題の危機感の共有が必要である。
 北井さんより 発言・・・・最終処分場フェニックスは、後15年位でいっぱいになる。
              可燃ごみの10%位は燃えカスとなって最終処分場行きとなる。
●  ゴミ有料化は不法投棄の増加につながる・・・有料化反対
 広陵町が資源ごみの有料化したが河川に不法投棄が増加
 学園前インターの集団的ゴミのバラマキ
 大和高原  大型ゴミの放置
 大森町陸橋・・・近隣住民の放置
  ゴミ問題に意識ある人のみ議論放置してもダメである。 住民(市民)の合意が必要



●  奈良市のごみ問題の経過
平成21年にゴミ有料化の審議会の答申が出た。しかし市議会が反対で没となった。
議会の反対原因は、市民の経済的負担増加が主たる要因
(市民税非課税世帯  無料としたが)
生駒市の有料化の問題点
市民の合意形成の手続きを踏まずに決定した。
紙おむつ利用者は減少させることができない。      
     ● ゴミ減量の団体としてキャラバンのアンケートにゴミの有料化のアンケート項目を入れている。
       ごみ袋は現状でも有料で購入している。
● ゴミ問題は地球環境危機と関連
ゴミ問題は単純でない。大量生産 大量消費 大量廃棄のサイクルを減少させる。便利さの犠牲。
● レジ袋有料化反対、リサイクルを中心に考える。
奈良市下水道普及率は100%近い。また、生ゴミ比率高い。生ごみは焼却炉の温度を下げる。
デイスポーザーを使い、生ゴミ粉砕し下水に流す方法の活用。・・・アメリカは一般的・
奈良市の場合排水管が小さいこと他、技術的に完全かどうか。市民の意識はどうであろうか。
機器の費用もかかる。(日本では試験的に実施が行われている)
● ゴミの分別化は、ゴミ量減少につながった。
● 新しいゴミ処理場の設備にバイオマス発電等の活用が期待される。
● ゴミ問題は、ゴミ処理場の設備機器(ハード)と市民意識(ソフト)に分けられる。
市民の意識改革にしっかり汗をかくことが必要である。


  先進自治体の事例(資料より抜粋)
     ・市民啓発の工夫
      市民説明会600回以上開催(日野市)有料化前後ステーションにおける啓発活動指導(京都市
      有料化実施から10日間市職員 町内会 グリーン札幌衛生推進員による早朝啓発動を実施(札
幌市)自治会を中心に1376回(参加者46300人)の説明会  実施当初2週間 延13000人によ
る市民と職員による「ゴミ出しマナーアップ運動」の実施(北九州市)毎年のように新しいゴミ
施策を打ち上げ、市民への説明機会ととらえ、広報紙や出前講座を開催した(高山市
リバウンドの兆候が見られるとゴミ減量市民座談会を9回開催した(日野市)
     ・減免制度
      在宅高齢者、重度障害者紙おむつサービス事業の受給者、生活保護世帯 2歳未満の乳幼児のいる
世帯に対して一定数量の無料配布。(京都市
     ・有料化に合わせて実施したゴミ減量施策(札幌市 北九州市
      一層の分別収集等。



                                         以上