「なら・未来」11月例会の要旨

 
  「なら・未来」11月例会を11月11日、奈良NPOセンターの会議室で開催しました。ゲストは特定非営利活動法人奈良NPOセンター理事兼事務局長の奥村直幸さんで、テーマは「地域活性化を必要とするNPOへの支援の現況と、第3フェーズに移行した奈良NPOセンターの取り組み」です。


 「なら・未来」としての問題意識は、法人格を持てない任意団体時代の活動から1998年に特定非営利活動法(NPO法)が制定されて18年が経過し、全国で現在5万以上のNPOが活動しています。NPO活動に従事している者から見ればNPO界は一定成熟段階にあるように見え、地域社会では個々の団体や活動はある程度認知されたといえますが、意外とNPOとは何か知られていないように思います。県内でNPOなどの活動を支援する奈良NPOセンターも少ない人員でよく今日まで頑張っておられますが、これまた何をしているのかあまり知られていません。引き続く経済不況や社会状況の中で、奈良NPOセンターが中間支援組織として何をめざして何をしようとされているのかについてお話を伺うことにしました。


 奥村さんは、「なぜ協働が必要か、なぜ協働が進まないのか。NPOの時代の流れを見ると非協働型の第1フェーズ、準非協働型の第2フェーズを経て、市民活動・協働推進型の第3フェーズへの段階にある。このため時代に合った協働のあり方を明らかにし、行政や企業との協働推進を含む中間支援の役割を明確にしていきたい」と述べられました。


 また、地域活性の一環としてコミュニティ・ビジネス、ソーシャル・ビジネスの推進にも以前から取り組んでおられます。これまでの活動の中から、大和ブランド推進協議会などとも取り組んでいる「野迫川村観光局」設立の経緯と行政との協働の野迫川村での活動、天理酒米プロジェクト、長滝復刻堂支援と企業と行政との協働の天理市福住地区での活動、若い人と営農組合をジョイントした若い人によるプロジェクトの御杖村での活動、追分梅林復活プロジェクトの奈良市追分協議会での活動、の4つの事例の具体的な取り組みの経緯と成果について紹介されました。


 とりわけ野迫川村の事例では地元の中心人物である津田晃さんが先月、不幸にも山の伐採中滑落して亡くなられたこともあって詳しく述べられ、追分梅林の事例では若年認知症のサポートをしてきた若野達也さんらがその人たちの働ける場として、休止した追分梅林の復興に向けて苦労しながら地元とのジョイントに取り組んでいるものです。


 最後に地域活性に必要な要素として、グランドデザインの構築、キーマンの選定、目標の明確化、できる限りすべての団体に入っていただく構成団体の構築、未来予想図の提示、活性することで雇用の創出など、7つをあげられ、地元の人たちはやるとなったら本気でやってくれると述べられました。2時間たっぷりお話しいただいたので、質疑の時間を多くとれませんでしたが、介護サービスの低下や介護職給与の低さなどで、より問題になるのではないかの意見がありました。