6月24日、政策研究ネットワーク「なら・未来」主催の2017年度第1回「なら・未来」サロンを開催しました。
今回は、奈良市財政を楽しく学ぶ会代表の加門進二郎さんが、平成25(8月以降)〜27年度における奈良市議会議員の政務活動費の使途について調査した結果を報告してくださいました。かなり詳細に調査・分析されており、非常に興味深い内容でした。
主な指摘は次のとおりです。
・「調査研究費」として、奈良未来の会と自民党の全議員が「新生奈良研究会」(奈良日日新聞社主管)の会費(年会費6万円)(新規加入議員は入会金3万円)を計上しているが、そこでの調査研究の成果は何も示されていない。
・「研修費」を3年間全く計上していない議員は3名(土田、横井、上原。敬称略・順不同、以下同)。ただし、だからといってこの3議員が研修に全く参加していないとは断言できない。
・「書籍購入費」(年鑑を除く)3年間全く計上していない議員は8名(中西、三浦、土田、山口、横井、階戸、松石)。ただし、だからといってこの8議員が本を全く読んでいないとは断言できない。一方、28冊を購ている議員もいる(鍵田)。この議員は視察や研修も独自にいろいろと実施・受講しており、報告書もしっかり書かれている。
・「書籍購入費」を計上している議員についても、購入図書のタイトルを見ると、奈良市政に関係があるのか疑問に思うようなものが散見される。
・人件費を支出している議員は4名(25年度=土田、25〜27年度=山口・内藤・柿本)。雇用契約書などの書類は添付されているが、氏名などは個人情報保護の観点から黒塗り。具体的にどんな業務をどのくらい委託」しているかは不明。
・「事務所費」に関連して、平成27年度にホームページ関連経費が計上されているにも関わらず、27年度一度も更新されていない議員が3名(土田、北、東久保)。土田、北、東久保の3名は、前回2013年の選挙のとき以来、2017年6月25日現在一度も更新されていない。
・携帯電話料、インターネット接続料を計上している議員もいるが、市民一般の日常生活のツールであり、議員のみ報酬以外の政務活動費として認めるのは、市民感覚としては理解しがたい。
・「調査研究費」について、法人との調査研究委託契約で活動費の大半(84万円のうち54万円)を費消している議員が1名(上原)。資料として法人から提供されたニュースも添付されているが、奈良市政に関係のない情報が大半であり、この委託契約が議員活動に生かされているのか非常に疑問。
・各種研修に参加したときの宿泊費について、ツーリストの領収書のみでどこに泊まったのか不明のものや、宿泊の必要性が確認できないものが見られた。
・交際費的な支出が1件見られた(新春互助会の会費)。これについては返還すべき。
・パソコン購入者が9名あり、10万円以上の購入者は備品台帳が義務付けられているが、対象となる議員について備品台帳が添付されている例はなかった。

 参加者からは次のような意見が出されました。
・使途の改善のため積極的に住民監査請求をしていくべき。
・議会改革フォーラムや各種学会に参加する議員が非常に少ない。
名張市では各会派の政務活動費収支報告書や領収書をインターネットで見ることができる。それに比べると奈良市はまだ遅れている。
・政務活動費は補助金であり、1つは事務所経費や電話代などのランニングコスト的性格のもので、こちらは私的な用途も含まれる可能性があるので案分。もう1つは研修など事業ごとの補助。
・民間企業であれば研修に行ったらリポートの提出は当然の義務。各種研修や視察については奈良市の市政課題に沿ったものとなっているかもチェックする必要がある。
・調査研究費の名目で、単に会費ではないかと思われるものを支出している議員が多いことを初めて知った。
・前回の選挙でトップ当選した議員は、政務活動費の使途を見る限りあまり活発に議員活動をしているとは思えない。市民の選択が妥当だったのか考える必要がある。
・明らかなルール違反は少ないが、合法ではあっても市民感覚からすると妥当な使い方なのか疑問に思えるものがけっこう多い。使い方の現状について、他の中核市と比較検討してみると面白いのではないか。
・公金を使っている以上、研修や視察などの成果をきちんと市民に示すことは必要不可欠。研修や視察は市民の代わりに行っているという意識を持つべき。
・議員としての目的意識を持って活動している人(ごく少数)と、単に自分の使ったお金を政務活動費の項目に無理やり当てはめているだけの人とに分かれる。
・このような会で定期的に政務活動費の使途をチェックし、市民に公開していくような活動は重要。

詳しい調査結果については、下記のファイルをご覧ください。

政務調査費について.docx 直

政務活動費明細まとめ (25年〜27年).xlsx 直