「議会を学ぶ」シリーズ③ 「これからの地方議員と政治倫理の確立」のご報告



2月25日(土)、奈良市のはぐくみセンターで、これからの地方議員と政治倫理の確立をテーマに議会改革市民会議を開催、30名ほどの市民や議員が参加しました。今回の講師は、フリージャーナリストの浅野詠子さん。20年間、新聞記者として取材をされた経験から、古都・奈良の公共事業と議員との関係などを踏まえこれからの政治倫理条例のあり方についてお話いただきました。



 前半 講師 浅野詠子さんによるレクチャー

「これからの地方議員と政治倫理の確立」


80年代から現在に至るまで、深刻な不祥事が絶えない奈良県下の議会。奈良市議会でも、政治倫理条例の改正が、奈良市議会の議会制度検討特別委員会で検討されていますが、浅野さんは、議長選をめぐる収賄事件*1が起きた今こそが、厳しい政治倫理条例を制定するチャンスである、とおっしゃいました。





政治倫理条例の先進地域といえば九州*2ですが、日本で一番最初に政治倫理条例ができた堺市の条例にも見習うべきポイントがある、とのこと。議員全員の資産公開が進んでおり、堺市役所の市政情報センターでは、コピー機もコイン式で、番人のような見張りもなく、市民が気軽に資産報告書を見ることができるそうです。*3



政治倫理条例では議員の親族の関係企業にいかに辞退してもらうかが問題となりますが、親族以外の者への名義変更などの抜け道があることも確か。浅野さんは、開かれた資産報告書があれば、市民がチェックするのに有効ではないか、また、肉親以外の名義で実質支配している企業との関係を確かめるためには、市民の通報窓口が議会のホームページにあっても良いのでは、と提案されました。




堺市の事例で浅野さんが一番強調されていたのは、これが市民の直接請求により作られた条例である、ということ。その精神の尊さに何よりも見習うべき所があるのではないか。条例など作ってもムダなどと諦めるのではなく、市民みんなで作る政治倫理条例として過去を戒めとし、中核市で最下位レベルにある財政状況の改善につなげてほしい、とのことでした。







後半 参加者によるフリー・ディスカッション


後半は、いつものようにフリーディスカッションです。今回は、奈良市の議員さんも数名参加しており、現在の議会の特別委員会での進捗状況などを含めて、質問・意見が飛び交いました。



現在の厳しい財政状況の原因をつくった過去の利害関係者の責任を追求する声、現在でも問題となっている議員の職員人事に関する口利き疑惑、議会が目指そうとしている方向性、条例の審査をする審査会のメンバー構成の見通し、奈良市のお隣・生駒市の議会報告会の事情、議長職のあり方、土地開発公社の実態、多額の借金を抱えた奈良市財政の改善案、議員を選んだ市民の責任などなど...。






過去の市政について、知れば知るほど、怒りを通り越し呆れ返る状況ですが、それでも前を向いて歩くことが必要だと思います。ブログでは書ききれない密度の濃い市民会議でした。「なら・未来」の議会改革市民会議は次回も3月に開催予定です。ぜひ、一人でも多くの市民の方に奈良市議会の状況を知ってもらい、市民にとって望ましい議会であるかどうか、望ましい議会になるために何が必要か、議論する場に加わっていただきたいと思います!




※ 次回、「議会を学ぶ」シリーズ④〜市民のための議会改革と議員像〜は、3 月31 日(土)に開催を予定しています。詳細は、後日、こちらのブログでお知らせします。 (◠∀◠)ノ

*1:この事件については、奈良新聞のホームページ、「奈良市議会議長選をめぐる贈賄工作問題」http://www.nara-np.co.jp/special/narashigi_zowai2011/ などに掲載されています。

*2:政治倫理九州ネットワーク http://www.seirin.gr.jp/ では、政治倫理条例のモデル案、政治倫理条例総合ランキング、が掲載されています

*3:堺市議会のホームページには「議員の資産公開」というサイトがあります。全議員が、「資産等報告書」、「所得等報告書」、「関連会社等報告書」、「資産取引報告書」を提出。一方で、検討中の奈良市議会議員政治倫理条例(案)(H23.10.17)では、「事案の解明のため必要があるとき」と限定されています。