【報告】第3回行政改革市民会議「市民参画と協働による自治体運営をどのように進めるか?」を開催しました

7月21日(土)に、第3回行政改革市民会議を開催しました。今回のテーマは「市民参画と協働による自治体運営をどのように進めるか?」です。会場はボランティアインフォメーションセンター。市民、職員、総勢40名ほどの参加でした。



冒頭に「なら・未来」代表の木原勝彬より、課題設定【奈良市の参画・協働政策の課題】として、藤原前市長からスタートした奈良市の参画・協同政策の流れを説明。市民に利用しやすい制度、条例概念の市民との共有が必要ではないか、と課題を提示しました。


次に、豊中市の田中逸郎副市長より、基調講義【豊中市の市民参画・協働による自治体運営改革】を。「参画・協働・自治」を考える材料として、「豊中市でやってきたこと・やっていること・これから取り組むこと」をご紹介いただきました。

そもそも主権者である市民が公共を維持するために作ったのが政府であり、コントロールの主体は市民というのが本来の姿。ところが、市民が生産活動に専念し、行政が執行するという役割分担文化が長く続いてしまった結果、参画といっても参考で意見を聴くというアリバイ的、補完的なものである現状も。市民の側も、個別の要求に留まり、まちづくり全体の有り様といった視点が欠けがちだ。


重要なのは、事業のプロセスの情報公開。協働事業に関わる市民に対してだけでなく、納税者であり、受益者であり、経営者でもある、すべての市民に対し、情報を公開していくことを忘れてはならない。


豊富な資料と経験に裏付けされた力強いお話で、講義の時間があっという間にすぎました。市民が主体となるためには、どのような制度設計にすべきか。試行錯誤を繰り返しながら取り組んでこられた様子が伝わってきました。常に批判精神を忘れることなく改革を実践された田中副市長のお話は、奈良市民・職員にとっても、心強い刺激となったのではないでしょうか。




奈良市の協働推進課、今西尚子課長からは、【奈良市の市民参画・協働の現状】をご紹介いただきました。「奈良市市民参画及び協働によるまちづくり条例」の特徴は、①前文が「ですます」の呼びかけ調にした点と、②8条に学校の役割を市民の一員、まちづくりの担い手として明記した所。親しみやすいパンフレットも配布していだきました。表紙のイラストからも、多様な市民の参加を願う意図が伝わってきます。

今後は職員向け研修を計画されているとのこと。また、この市民会議の会場でもあるボランティアインフォメーションセンターが2011年に開設されたので、幅広い分野の市民活動支援に力を入れたい、とのことです。




後半は、すべての参加者とのディスカッションです。①参画、自治の概念についての整理、②参画制度の充実、協働制度の課題、③公共経営のあり方を中心に進みました。



会場からの「議員の中に、自分たちの役割を奪われるというような抵抗はありませんか?」との質問には、田中副市長からは「そういう時期もあったが豊中では過去形に。市のワークショップにも議員に案内を送り、一市民としての参加をしてもらうなどしている。協働が議会の役割再考のきっかけになっている」、奈良市の今西課長からは「時代の流れは議員さんも承知しており、変化はおきつつある。期待もしているところです」とのことでした。


また「行政はほんとうに市民参加を望んでいるのか?」との質問には、 田中副市長が「市民はほんとうに市民参加を望んでいるのか」と返す場面も。市民主体の行政の実現には、市民がいかに学習をするか、関わる市民が食べていけるか、など課題も山積。ですが、粘り強く、市民、議会、行政が対話を繰り返し、政策を磨き、未来へとつなげていくことが必要ではないでしょうか。山登りは、始まったばかり! 


より詳細な報告は、次回8月25日の市民会議の資料として配布します。ぜひ、次回もご参加ください。