「政務調査費」の使われ方

nara_mirai2013-06-28



 奈良市議会議員の「議員活動評価報告書」を作成しました。今回は、その中の「奈良市政務調査費の使用実態に関する検証結果」について、概要をお知らせします。


 この調査では、平成22年度及び23年度の政務調査費を、行政文書公開請求し閲覧しました。政務調査費の内訳は、研究研修費、調査旅費、資料作成費、資料購入費、広報費、広聴費、人件費、事務所費となっています。
 

 調査の結果、わかったこと、疑問点は以下のとおりです。
 

 ●資料購入費を分析した所、地方自治専門誌「日経グローカル」、「ガバナンス」、「地方自治」等の購入実績が見られなかった。
 ●毎年、ある会派は遠隔地に研修で出向いている。視察要件は満たしているが、 報告書が無い、もしくは先方資料のみである。
 ●ある議員は、毎年数十万の調査研究委託契約を結んでいるが、アドバイスの成果が見えない。不正使用を疑われるケースであり、報告書など成果物の添付を義務づけるべきではないか。
 ●4名の議員が事務補助として人件費を使用。しかし、個人情報保護の観点から氏名は明らかにされない。本件については奈良市民から、個人情報保護法の対象に当たらないと氏名開示請求の法廷での争いが続行中である。
 ●ある議員のコピー機のリース料は52万円、このコピー機による枚数カウントはモノクロ9988枚、カラ―1301枚となっている。支出政務調査費合計額の56%にも及んでおり、他の議員と比較して実際上どのような議員活動に利用されたのか不明確である
 ●多くの議員が事務所費若しくは広報費の中で、各年、ホームページ管理料を支出している。ところがHPの更新を実施されていない議員が散見された。
  

 また、本報告では、以下のような改善に向けた提案をしています。


 ●「奈良市政務活動費の交付に関する条例」では収支報告書と領収書等の提出が義務付けられえちるが、様式がおおざっぱであり、形式的書類により水増しさえできかねない状況である。たとえば視察に行ったのであれば、①視察の目的、②行程表、③面談者の名刺、④面談や視察の概要、⑤成果(視察結果をどう市政に生かすか)⑥視察の様子を写した写真、といった資料の提出を義務づけるなど、使用手続きをより厳格にすべきである。
 ●補助金の要請や陳情活動の中には、議員活動ではなく政治活動・選挙活動と言えるようなものも入り込む可能性がある。したがって、より厳密に政務活動費の使用に関する審査を行う必要があるが、議長や議会事務局ではその機能を果たすことが難しい。そこで、第三者が審査する仕組みを設けるべきである。
 ●現在、政務活動費の支払先は会派でも個人でもよいことになっているが、会派に支給されたものでもすべて会派としての活動に使われるわけではない。個々の議員がどのような政務活動を行ったのかは、次の選挙で有権者が投票する際の判断材料にもなるものである。会派で使用したものと議員個人で使用したものを明確に分けて収支報告書を作成するよう義務づけるのが望ましい。

※「議会活動報告書」より


 本報告の詳細は、「議員活動評価報告書」からダウンロードしてご覧いただけます。
ぜひともご覧ください。

http://d.hatena.ne.jp/nara_mirai/20130626