【奈良市長選立候補予定者の政策発表(5月25日時点)ー天野秀治さん】5月25日


2.天野秀治さん


(1)発表要旨


<立候補決断の理由>


・私は奈良市が大好きだが,奈良市は今,瀕死の状態にある。得意とする政策提案力を生かして奈良市を再生したい。
奈良市はこれまで稚拙な行政経営が続いている。最近でも事業・業務の総点検とか,幼稚園を民営化すれば14億円浮くとか,議会で質問するに値しない政策が行われている。こういった現状に対して,私は計画に基づいた政策立案過程を踏めば必ず再生できると考えている。
・経済政策があまりに貧弱である。この3月に中心市街地活性化基本計画が終了したが,その結果がビブレの撤退であり無印良品の撤退である。地域循環型の経済を確立したい。
・必要なところに必要なお金が回っていない。たとえば,土地開発公社の問題。第三セクター債の160億円は,一部の人が山林を奈良市に売りつけて儲けた結果であり,その支払いをこれから我々がやらなければならない。その負担のために医療,子育て,福祉などにお金が回らない。こんな理不尽な話があるのか。私は最小限の行政コストによって最大限のサービスを提供したい。政策のエキスパートがリーダーになれば,必ず奈良市は再生する。


<私ならこうする>


①キチンと政策立案,ガッチリ行政経

・政策立案過程とは,まず直面する問題・政策課題について検討課題を明確に設定する(総合計画,他市の事例,経緯,目的,必要性,緊急性,効果など)。→考えられる複数の対処案(政策案)を作成し,メリット・デメリットを比較検討する。→対処方針(とるべき政策案)とてその考え方・理由を明示して政策ペーパーをつくる。→これをトップに上げて,責任ある決断へ
・これまでの奈良市の伝統的な経営手法は,たとえば奈良市にホッケー場を作りたいと考えると,まず候補地を購入した。これが現在塩漬け土地となっている横井町の山林。しかし奈良市に政策形成過程があれば,地形,進入路,購入額,計画性,実現性などの面を検討した結果,土地の購入は見送ろうという結論になったはずだ。そうすれば160億円の借金を抱えずに済んだ。
・もう1つ,最近の事例。議会答弁用にiPadを導入したいということで,1社随意契約で本年3月議会用に即購入した。総額1500万円(1台あたり43万円)をかけたが,結局誰も使えていない。もし奈良市に政策形成過程があれば,接続,安全性,操作性,親和性,事業費などを検討し,安価なコストで使い慣れたマシンを購入できたはず。こうして今でも無駄遣いが行われている。
・きちんと政策形成過程を踏めば,市長の独断で決めることはできず,無駄遣いは確実に減る。


②しっかり市民と考える,カンペキ情報公開

・多くの市民は奈良市の財政状況が非常に厳しいことを知らない。また,一部の人がぼろ儲けしたためにできた莫大な借金を,今の中学生・高校生も含めた我々市民が払っていかなければならないことも,多くの市民は知らない。こうした情報をきちんと公開することが市民自治ナンバーワンへの道だ。
・市民監視のもと,徹底した行財政改革と計画的な行政運営で未来を語れるまちにしたい。


③グイッと伸びる,地域循環型経済

トップセールスで大型遊休地の活用を進める。観光については何度も行きたくなるリピーター戦略を立てる。地域固有の資源の再発見と活用(たとえば阿修羅像)。地域の会社を育てることによって,その会社が得た利益を再び地域に戻すような仕組みをつくる。こうしたことを続けていけば地域循環型経済ができあがり,持続的発展につながっていく。


④ニコッと子育て・福祉・教育

・必要なお金を必要なところへ回す。財政難でね福祉関係予算は確実に増大するので,事業の選択と集中が必要。子育て環境の充実が急がれており,待機児童の解消については横浜方式なども検討していきたい。学力向上については教員のリソースを最大限に生かすことが大切。


⑤ギュッと連携,国・県・近隣

・たとえば医療については,すべての疾病に対して独自に整備するのは非効率であり,近隣自治体との連携を進める。クリーンセンターについては,検討委員会の結論も尊重しつつ,新市長としても候補地を探す。防災については,緊急事態に備えた新システムを構築する。



<個別施策>


・さらに具体的な施策については資料を参照してほしい。4年間の費用は告示後に公表する。個別施策に必要な費用の確保については,計画行政を進める中で施策の優先順位を決め,それに基づいて行っていく。






(2)質疑応答要旨

(質問)情報開示請求について,携帯端末やパソコンを利用して市役所に行かなくても情報を得られるようにできないか。
(回答)主体的・自主的に情報公開するものと,開示請求によって公開される情報とを分ける必要がある。そして,前者の情報をもっと増やさなければならない。


(質問)クリーンセンターについて,発電機能を付加するべきではないか。
(回答)ここ数年の間に建設された焼却施設のほとんどは発電機能がついている。私も熱源を有効利用して企業誘致を行い,それによって財源を生み出したい。また,生ごみを利用した再生エネルギーのプラントをぜひ作りたい。


(質問)塩漬け公有地の問題だが,責任の所在についてはしっかり追及していただけるのか。
(回答)民事訴訟は損害額が確定した日から3年間は時効が消滅しない。今回の問題の場合,奈良市土地開発公社の土地に対して持っていた求償権を放棄した時点が損害額の確定日であり,本年3月22日。つまり,この日から3年間は不法行為について請求できる。どれだけ取れるかわからないが,私は必ず徹底的にやる。


(質問)クリーンセンターについては,現在の候補地を白紙撤回するのか。
(回答)そうではなくて,検討委員会で決めた候補地と市長として独自に探した候補地との比較考量をしたいということだ。私としては,幹線道路沿いでもっと便利なところにクリーンセンターを移転したい。さらに,近隣市町村との連携による一部事務組合方式も含めて検討したい。


(質問)奈良市の交通体系について,新しい交通機関も含めてグランドデザインをつくってほしい。
(回答)道路行政についても,これまでは無駄遣いのために必要なお金が回ってこなかった。そういったグランドデザインもしっかり考えていきたい。


(質問)どういうような状態が市民自治ナンバーワンになるのか。
(回答)情報公開が当たり前の時代なって,私達のまちのことは私達自身で決めていくことができるようになった。それがまさに住民自治だ。たとえば,パブリックコメントをかけてもなかなか市民から意見が集まらない。それを,携帯端末を使って市民に意見を求める市川市の方式を参考にしたり,住民の意見を吸い上げる仕組みをつくりたい。物品の購入にしても,市民の監査委員の目を通らないと買えないような仕組みにしたい。