【奈良市長選立候補予定者の政策発表(5月25日時点)ー浅川清仁さん】


(1)発表要旨


マニフェストについて>

・市長選の告示は7月14日,投票日は7月21日。告示に向けて皆さんの力を借りながらマニフェストを作っていきたい。現時点でマニフェストを不特定多数の人に配布するのは公職選挙法で禁じている事前運動にあたることも考えられると解釈しており,7月14日に確立したマニフェストアジェンダを皆さんに示すのが筋だと考える。現在のものはそこに至る途中段階と考えていただきたい。


 <奈良市の4つの課題>

基礎自治体にとっての責任は何なのか,奈良市の重要課題は何かという視点から,4つの課題を掲げた。


行財政改革

奈良市の財政状況は最悪。子どもたちにツケを払わせないようにすることが喫緊の課題。奈良市は平成22年度から行財政改革大綱を改定して取り組んできたが,目標値は低いしチェックが甘く,手ぬるい改革だと思う。徹底した行財政改革が必要であり,そのためにはトップのリーダーシップと勇気,覚悟,行政経営能力が不可欠。


②いのちを守る(医療・介護・福祉・防災)

基礎自治体のトップの責務は,何よりも市民の命を守ること。人は生まれ,育ち,働き,老いるというそれぞれのステージがあり,それぞれのステージで安心できる生活を担保するというのが基礎自治体のトップの責務。


③教育環境を整える

奈良市の明るい未来をつくるのは,何と言っても教育。教育で重要なのは,現場に立っていろんな問題に対応していくこと。私は今県議会にいるが,つくづく思うのは現場が大切ということだ。上からあれこれ言っても実際に対応するのは現場であり,現場重視ですべての問題を解決して行く仕組みづくりが必要と考える。


④文化・観光・まちづくり

奈良市の豊富な文化遺産を活用することが大切であり,古い文化,伝統,技術を継承していくのと同時に,新しい文化,芸術を生み出していく環境を整えることが必要。「アート&クリエイティブシティ・奈良」を創っていくことがこれからの奈良の目指すべき道だと考える。


<4つの課題を実現するための施策>


①積極的に「つながる」!

・私はもともと道州制論者であり,広域行政は奈良県ではなく関西という単位で考える方が効率的だと考えている。しかし現在の統治機構のもとでは,何より大切なのが県とつながるということ。県都である奈良市が発展しないことには県も発展しない。奈良公園を世界一にしようとか,また県立病院についても,奈良市にできる以上奈良市と連携することが非常に大事。
・国との連携も非常に大切。これほど財政状況が悪いのだから,国からしっかり財源を引っ張ってくることも大切な市長の仕事であると考える。
大阪市京都市とも広域連携を進める。奈良県は県外就職率日本一と言われる。もし大きな災害が起こったら,必ず帰宅難民の問題が起こる。その対策がまさに広域連携であり,隣の大阪市京都市と連携することで皆さんの安全を確保することができる。
・これからの自治体は自立が求められる。だからこそ,お互いに長所を生かし短所を補い合う広域連携が非常に重要になる。


②今あるものをとことん「活かす」!

・私はドリームランド跡地の近くに住んでおり,ここの活用を皆さんとともに議論しながら進めていきたい。これは奈良市の発展にとって大きな起爆剤になる。


③心を込めて新しい「これから」を創る!

奈良市の新しい玄関口として,JR奈良駅近鉄奈良駅を一体化させてはどうか。両駅の間は大変離れており,これが奈良市の経済の発展を阻害する大きな要因になっている。ここにリニアの駅を誘致することが必要。リニアの駅は地上ではなく地下につくるべき。
・ロケーション・サービスを奈良市が提供する。「鹿男あおによし」というドラマの放映後,奈良の土産物屋さんはずっと売上げが好調だった。奈良市をロケ地として使ってもらうために,少々お金を使ってもいいのではないか。
奈良県は県内就職率や女性の就業率が日本一低い。人口が減っても働く人の数が減らなければGDPは減らないはず。そのためには企業や商業施設の誘致が必要だ。それが経済の発展につながり税収の拡大にも結びつく。


④「みんなの声」を聴き続ける!

・民主主義の原点は基礎自治体にある。市民の皆さんには民主主義を体感していただくことが重要で,これは簡単ではないがいろいろな方法を駆使して興味を持っていただくことが政治家としての責務。





(2)質疑応答要旨


(質問)クリーンセンターの候補地についてどう考えるか。
(回答)50回以上開催されてきた検討委員会を無視するつもりは全くない。ただ,合意形成の図り方がどうだったのか。こういった施設には必ず反対が出てくるが,奈良市の責務として作らなければならない。市民全体の話であり,市民が一体となって合意形成しなければならない。


(質問)ドリームランド跡地の具体的な利用法は?
(回答)ここは民間の方の所有地だが,あれだけ広大な土地でロケーションもいいので,公有化した方がいいと思っている。今のままでは規制が厳しく何も建てられない。
(質問)それは先日解散した土地開発公社の二の舞にならないか。
(回答)何のためにその土地を買うかという目的が大切。特定の土地の持ち主への利益誘導ではなく,奈良市の発展を考えるなら前向きに検討すべき。


(質問)リニアは地下駅にということだが,地上駅なら350億円,地下駅なら2200億円かかると言われている。そしてJRは,地上駅なら費用負担を求めないが,地下駅なら差額は地元に求めるという考え。そうすると,差額の1800億円余りをどこからか捻出してこないといけないが,その財源はどう考えるのか。
(回答)私は,奈良市の発展を考えるとそれくらいの投資をしてもいいと考える。数百億円は奈良市の負担になると思うが,それでも挑戦すべき。


(質問)先ほどの発表では環境問題に触れていなかったが,環境についての考え方は?
(回答)もちろん環境問題への対策も必要と思っている。特に新しいエネルギーについては新産業の創出の面からも十分可能性があると考えており,この点はマニフェストにも必ず入れたい。