【奈良市長選立候補予定者の政策発表(5月25日時点)ー大野祐司さん】


4.大野祐司さん


(1)発表要旨


<プロフィール>

・学生時代は奈良学生ガイドで活動。
国土交通省に入り,独立行政法人改革,整備新幹線の推進,交通安全の全国的な取りまとめなどを担当。
国交省に入ってからイギリスに留学。国交省で24年間勤務し,国の仕組みに限界を感じたのと,国際的な場で自分を試したいとの思いから,アジア開発銀行に転職。インフラ関係のプロジェクトマネージャーを務め,四川省エコツーリズムプロジェクトを立ち上げるなどの活動を行った。
・昨年維新の会から声がかかり,準備期間が3週間という中で衆議院選挙に出馬したが落選。
・この3月で維新の会を離れた。維新の会の活動が自分の思いとだいぶ異なってきたということと,奈良に合った改革が必要と訴えたが折り合わなかったことがその理由。
・人生観は,人と人をつなぐ仕事をしたい,いろんな方のお役に立てる仕事をしたいということ。


<市政の現状と目指すべき市政>

・急速な高齢化,人口の減少,経済の低迷,財政危機
・目指すべき市政として何よりも重要なのは市民の安全安心。それと,世界に誇れる魅力あるまちにしていきたい。経済の活性化,雇用の確保も重要。街頭で活動していても,雇用を確保してほしいという声が非常に多い。
・政治理念は,①しがらみのない政治。②市民参加型の市政。アジア開発銀行で仕事をしていたとき,いろんな民族の人の話を聞いた。日本人の感覚ではわからないこともあるが,それも1つの意見であり,多くの人の意見を聞くことが重要。③経験と知恵で市政の立て直し。失敗したらそれを分析して次のステップにつなげていく。④現場主義と地方分権。⑤県との連携。⑥他自治体との連携。


奈良市政を変える三本柱>

①世界に誇れるまちづくり。単なる観光都市でなく,奈良の良さを活かした国際的歴史学術観光都市にしていきたい。
②市民が安全安心に暮らせるまちづくり。
財政再建。しがらみのない改革。


<重点政策>

①魅力ある国際的歴史学術観光都市をつくる…市長のアイデアでは限界がある。産官学さまざまな皆さんの声を反映する仕組みをつくるのが市長の仕事。
②安心して子育てができる環境を整備…待機児童解消などいろいろあるが,量だけでなく質も大切。
③子どもの未来を考えた教育の充実
④高齢者にやさしいまちづくりと市民の健康づくり…特に健康増進を重視したい。
⑤交通問題の解消に向けた取り組みと魅力あるまちづくり…交通だけでなくまちづくりと一体になった長期計画をつくることが必要。
奈良市の強みを生かした新産業創出の支援…都祁,月ヶ瀬地区も重要。
⑦災害に強い地域づくり…危機管理の総点検をする必要がある。
行財政改革奈良市の財政は非常事態…経費削減だけでは財政を立て直すことは難しい。
⑨市役所改革〜対話と意識改革
⑩公営事業の課題を解決…ごみ処理場建設問題の早期解決,斎苑場建設移転問題の早期解決


マニフェストの位置づけ>

・社会の状況に応じて変えていくべきものと思うが,変える際はきちんと市民に説明する必要がある。また,マニフェストに書いてあるからといって何をしてもいいということではない。

(2)質疑応答要旨

  (質問)お寺や神社を活用していく考えは?
  (回答)もちろん奈良のお寺や神社は重要な財産であり,これらも参加してもらって長期観光戦略を立てていきたい。

  (質問)奈良の老舗のホテルが閉館したりしているが,宿泊客の増加に向けた考えは。
  (回答)夜に出歩けるような魅力を創出することが必要。たとえば,能を見られる場所をつくったり,おいしいものが食べられるお店をもっと増やしたり。ソフト面の魅力をつくることが重要。

  (質問)観光の主体は行政ではなく業者。いかにやる気のある業者と連携していくことが重要だと思うが。
  (回答)学生は年々減っており,高齢者が増えているので,ターゲットを変える必要がある。官民の役割分担をうまく決めて,みんなで知恵を出し合っていく仕組みをつくることが重要。

  (質問)世界的な基準から見ると,奈良市の夜が静かであることは価値の高いものだという意見を聞いたことがある。国際的な仕事をしてきた立場から見て,奈良市の価値とは?
  (回答)にぎやかなほうがいいとは言っても,繁華街をつくるということではなく,奈良の伝統芸能をやっくり楽しめる場などが必要ではないかと考えている。宿泊施設のレベルはアジアでも上がってきているので,奈良も努力が必要。ただ,1300年守ってきた伝統の良さは変えてはならない。