【公開質問回答ー財政編ー中村あつ子さん】


中村あつ子さん
・中村あつ子ブログ http://n-atsuko.jugem.jp/?pid=1



1.財政の健全化について


(1)奈良市の財政状況について

Q・奈良市財政の現状、あるいは財政運営についてどのように認識されていますか。その現状認識と課題についてお書き下さい。

A・これまで、町こわしの三条通の拡幅など、ムダとも言える大型公共事業に税金をつぎ込んできたツケがまわってきています。また、長期に及ぶ景気の低迷と正規雇用から非正規雇用への置き換えなどで市民の所得が減り、市税収入を減収させています。その上、国が負うべき地方財政への責任放棄による財政悪化が地方自治体を苦しめています。


奈良市では、土地開発公社をめぐる長年にわたる乱脈な運営で、約200億円もの損失を被らせました。しかし現市長は、この被害をもたらした当事者の責任を問うこともなく、金融機関への応分の負担を求めることなく、長期にわたる借金で穴埋めし、市民にその負担を転嫁しています。こうした無責任な市政運営を改め、市民のくらしを応援する姿勢への転換が求められます

(2)財政運営のあり方について

Q・①市民との財政情報の共有についてお聞きします。財政情報の市民との共有化が求められていますが、どのような方法で市民との財政情報の共有化を図りますか。その共有化のための具体的な方策をお書き下さい。また、「厳しい財政状況の認識を市民と共有するため、奈良市は財政非常事態宣言を出すべき」との意見がありますが、このような意見に賛成ですか。

A・財政状況の分析にあたっては、普通会計、特別会計企業会計、外郭団体など、それぞれの単位においての分析が重要と考えます。したがって、すべての会計ベースの借金残高を単純に合計しその額の大きさを強調して市民に不安を煽ることは、正確な情報提供とは言えません。それぞれの分野の財政状況を、その分野がもつ特質と照らして情報を発信することが重要です。現時点で財政非常事態宣言はそぐわないと考えます。

Q・②市債(地方債)についてお聞きします。市債発行の基本的な考え方および市債残高を軽減する方策をお書き下さい。また財政力指数は、過去、中核市の平均以上の数値であるにもかかわらず、巨額の市債残高を累積する状況に陥った原因はどこにあると認識されていますか?

A・土木・建設事業の財源の一部に充てられる市債は、その耐用年数に対応する年度間の負担と工費負担の平準化を果たす役割を持っており、市債発行の計画性を高めることで適切に運営できると考えます。平成23年度末の借金残高は、普通会計ベースで1976億9455万2千円です。この内63%はいわゆるハコモノにあてられ、30%は地方交付税など国が責任を持つべき財源をいったん借金に置き換えたものです。残る7%は職員のリストラなどによる退職金に充てた借金です。土木や建設事業を市民生活に密着した事業に転換すること、国に地方自治体への財源保障を徹底させることで、市債に依存した体質から脱却することです。


Q・③歳入の確保についてお聞きします。歳入確保に向けた基本的な考え方および歳入確保の方策をお書き下さい。特に、歳入増に効果的と思われる経済発展策についても言及して下さい。


A・何よりも市民の懐を暖める施策の実施が求められます。いま進められているアベノミクス政策は、日本を元気にする課題に逆行するもので、すでに破綻の兆しすら現れています。安心して暮らせる社会にするため、巨額の内部留保をもつ大企業には、雇用は正規雇用を基本に求めるとともに、応分の税負担を求めることが必要です。内需の拡大を基本に据えた経済政策が求められます。奈良市では、観光客を呼び込める施策が重要です。歴史と文化に直接触れられる「古都なら」の奥深い良さをアピールするとともに、町こわしとも言える三条通の拡幅などもってのほかです。

Q・④歳出の見直しについてお聞きします。歳出削減に向けた見直しの基本的な考え方および削減方策についてお書き下さい。


A・いわゆるハコモノ事業を凍結し、建設事業を市民生活密着型の必要最小限の事業にします。そうすることで地方債残高が増えることを抑制し、起債償還のピークを過ぎることで財政の柔軟性を向上させることができます。


(3)計画的な財政運営について

Q・①財政運営と総合計画との関係についてお聞きします。総合計画と財政運営の関係についての基本的な考え方をお書き下さい。また、「総合計画の前期基本計画・実施計画の見直し、あるいは総合計画全体の見直しをしてはどうか」との意見がありますが、このような意見に賛成ですか。


A・財政運営と総合計画との関係については、総合計画の具体的な内容が市民のニーズに合致しているのかどうかは、常に検討されなければならないと考えます。その検証を通じて必要な事業の実施計画が立案され、それに従った財源確保が求められます。常に不要・不急の事業かどうか、また効果的か効率的かの検討と判断が求められます。思いつきの、その場限りの計画では市政は破綻します。


Q・②中期財政計画(5 年間の財政計画)についてお聞きします。計画的な財政運営を行っていくためには、総合計画との整合性を図った上で、中期的な財政見通しに基づく財政計画を策定する必要があります。計画的に財政運営をコントロールするための、あるいは市民が財政運営状況をチェックするために必要な計画項目を設定する必要があります。中期財政計画に必要な項目と、その理由をお書き下さい。



A・歳入では、過去の実績と短期・中期の歳入見通しを明確にすることが必要です。歳出では、経常的な歳出の短期・中期の見通しとあわせ、起債残高と毎年度のその償還計画を明示して、予算編成に反映させることです。


Q・③奈良市行財政改革は昭和60 年(1985 年)から始まっていますが、行財政改革は十分な成果を上げていると思っておられますか?もし十分な成果をあげていないとお考えでしたら、その理由をお書き下さい。

A・行財政改革というものの中味が、本当に市民のくらしを守る内容となっているかどうかが問われます。端的に言って、土地開発公社の不正とも言える乱脈な運営で新たに200億円もの負債を市民に背負わせました。その一方で、職員の非正規化と業務の民間委託を強引に進めています。地方自治体本来の役割を投げ捨てることが、行財政改革だと誤解されているのではないでしょうか。


(4)財政運営の健全化について


Q・①健全な財政運営の状況を示す指標についてお聞きします。財政運営の健全性を判断する指標として必要だと思っておられる指標をお書き下さい。

A・健全な財政運営を示す指標については、まず自治体の財政力を示す「財政力指数」があげられます。また、毎年度の財政状況を示す「実質収支比率」「経常収支比率」などがあげられます。


Q・②財政健全化を推進する組織についてお聞きします。財政危機ともいえる奈良市の財政を立て直すためにも、あるいは財政健全化を強力に推進するためにも推進組織が必要です。求められる推進組織はどのような組織であるべきだとお考えですか。また、「財政危機を突破するためには、広く市民や専門家が参画する奈良市財政危機突破委員会(仮称)を発足させるべきだ」との意見がありますが、このような意見に賛成ですか?

A・厳しい財政運営になっている状況ですが、財政健全化判断指標はクリアしており、ことさら「財政危機」を強調するまでには至っているとは思えません。毎年度、歳入に見合った歳出計画をきっちりと立て、ムダな大型公共事業をストップすることで財政は健全化します。


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Q・③財政健全化には財政規律の確立が不可欠です。財政規律を確立するための条例制定についてお聞きします。「奈良市財政の現状を考えると、財政運営の基本原則、計画的な財政運営、財政運営の健全化などを規定する「奈良市健全な財政運営に関する条例」(仮称)を制定すべき」という意見がありますが、このような意見に賛成ですか?財政の健全化を確立するための条例制定についてのご意見をお書き下さい。

A・地方自治法地方財政法などの「法の枠」を超えた条例制定が可能なのでしょうか。財政規律を守るのは市長に課された責務であり、予算編成とその執行にあたって誰が見ても公正なものにすることで、適正な財政運用が図れると考えます。

※「市民参画編」は後日とりまとめします。この市民参画についての回答を含め、その他の立候補予定者の回答や、論点ごとのとりまとめたものを、すでに、「市長立候補予定者・議員立候補予定者の公開開質問に係る報告書」として公開しております。ぜひご参照ください。