まちかどトーク「総合計画と行財政改革」レポートーその3

nara_mirai2014-01-03



12月25日の「奈良市まちかどトーク」のレポートです。おとといの「総合計画」に続き、昨日の「行財政改革」に引き続き、今回は「質疑応答・意見交換」の概要を掲載します。


レポートその3 「質疑応答と意見交換」


<質疑応答>


(1)「第四次総合計画」・「NARA NEXT4」について*1

  • 第四次総合計画の計画期間が2年経過したが、中間評価の報告はなされているのか?

 →平成23・24年度の個々の事業については9月議会で報告している。全体的な評価については、後期基本計画の策定に際して実施する予定。

  • 「NARA NEXT4」に記されている政策は来年度予算に反映されるのか?

 →今年度から継続している事業もあるし、来年度の実施計画に追加する事業もある。

 →各担当セクションで自己評価を行っている。それぞれの事業について、耐震化率や経常収支比率のような指標(数値目標)があり、その達成度などによって評価している。全体的な指標については、まちへの愛着度、住みやすさなどについて市民への意識調査を行っており、後期基本計画策定に際しても意識調査を実施して、それらの指標の推移を見たい。

  • 仲川市長は計画行政に対する認識が薄いように感じる。今回の政策集について、総合計画との整合性をすり合わせるよう市長からの指示はあったのか。また、1期目と2期目のマニフェストの継続性についてどう整理しているのか?

 →政策集の内容については当然総合計画との整合性を意識して作られている。行政としてはあくまでも総合計画が最上位の計画。1期目と2期目のマニフェストの継続性については整理しているところだが、法的にできないため、あるいはすでに達成したために今回は入れていないものもある。

  • 1期目のマニフェストの検証評価をして思ったのは、少なくとも職員の意識レベルでは行政計画とマニフェストの二重構造が存在するのではないかということだ。この点についてどう考えるか?

 →実情としてそういう印象を与えているとすれば真摯に受け止めたい。

  • 総合計画には地区計画や重点プロジェクトも入れるべきではないか?

 →後期基本計画の策定に向けては、そうした意見も参考にしたい。

  • 市長が最初に発表したNEXT4と市民だよりに掲載したNEXT4とで若干違いがあるが。市民だよりでは、NEXT4の中から何を基準に抜粋しているのか?

 →市民だよりには、市民生活に関わりの深い項目を中心に抜粋して載せている部分があるし、表現についても市民向けにできるだけわかりやすく編集している。

  • 基本構想・基本計画は理念的なもので、実施計画になった途端にかなり具体的になる。その間にテーマ別の計画がきちんとあるべきではないか?

 →それぞれの基本政策ごとに取り組むべき課題を整理して、具体的な事業を導き出している。ただ、今後もっとわかりやすい形で紙面構成を考えていきたい。

(2)行財政改革について*2

  • 平成28年度以降の財政見通しは立てているのか?

 →総合計画後期実施計画の策定に合わせて明らかにしたい。

  • 消費税アップによる影響はどう予測しているか?

 地方消費税増税分と、地方交付税の財源である国税5税の1つが消費税なのでその分の税収増はあるが、臨時財政対策債を埋めるにも足りないように聞いている。また、物件費などの支出は増える。

  • ファシリティ計画と現在の数字とのギャップはないのか?

 →今年度から行政経営課内にFM推進グループを設置した。奈良市でもこれから施設の大量更新時代を迎えるが、まだそれに要する費用の試算ができていない。そこで今年度、奈良市が抱えている資産の現況調査を始めたところ。ただ、総務省のソフトにあてはめてざくっと計算したところでは、約3000棟の施設をすべて更新するすれば約2000億円かかる。そのため今後は施設の整理統合を進めながら市民サービスを低下させないような方法を考えていく必要がある。いずれにしても、できるだけ早く更新計画を作りたい。

  • 職員数の適正化について、適正な職員数はどのような基準で算出するのか?

 →何人が適正かという定まった指標はない。類似自治体と比べるしかない。

  • 歳出と歳入のバランスだけでなく、資産がどれだけあり負債がどれだけあるのかを一般会計のみならず特別会計も含めて見ていかないと、正確な財政状況は把握できないのではないか?

 →これまでの役所は単年度主義・現金主義・単式簿記による会計処理を基本としていた。平成21年度から、複式簿記・発生主義による会計処理を暫定的に導入している。流動資産はほとんどなく固定資産が98%を占めるが、その固定資産の中身がまだ整理できていない。市が持っている固定資産を1つひとつ評価して値段をつけて減価償却してというのはできていないので、今後そうした作業をして固定資産台帳を整備したい。今は複式簿記ではないので、奈良市全体で一塊りになっていて、ドリルダウンができない。固定資産台帳を作って常に更新していくことで、事業別・施設別の行政コストも把握できるようになる。また、市民一人あたりの固定資産が少ないという指摘も以前にあり、現在の決算統計をもとにした数値で見るとたしかにそうだが、この数字は現実とかなり乖離している部分がある。

  • 仲川市長は奈良市の財政状況についての危機意識が薄いのではないか?

 →財政健全化法に基づく財政健全化4指標で見るとまだイエローゾーンに達していないので、そういう意味でまだ危機的な状況にまでは至っていないという認識ではないか。

  • 総合計画実施計画と行財政改革大綱との関連性・整合性は?総合計画には載っていないが行革大綱には載っているものもある。

 →実施計画に、役所が行うすべての事業が網羅されているわけではない。総合計画と行革大綱は両輪。総合計画を実施するためにも行革大綱を実現しなければならない。ただ、総合計画で実施すべき将来ビジョンと、行革大綱で実施すべき効率化とは、短期的に見れば方向性が異なる部分はある。

  • 生駒市では行革で真っ先に手をつけたのが入札制度改革。奈良市では入札制度改革による財政削減効果がどのくらいあったのか?

 →仲川市長もかなり積極的に取り組んでいる。



<意見交換>

  • 第4次総合計画はいわば予定調和の世界で、従来の総合計画と何も変わらない。この計画を見て「奈良に住みたい」と思う人はあまりいないのではないか。現在、高齢者を中心に中心市街地への志向が高まっており、そうしたニーズに応えるため都市計画を変更すべきではないか。観光については、京都との差別化が不可欠だし、コンベンションシティも計画から抜けている。ゲストハウスが少ないのも奈良の大きな問題。県・国との連携についても具体的な施策が示されていない。全体的に過去の踏襲にとどまっている。
  • 少子高齢化、生産年齢人口減少、税収減少については行革で対応、行政ニーズの高度化多様化については新しい公共で対応としているが、これは新しい公共の概念を矮小化しているように思える。行政経営全体について新しい公共の視点が必要。
  • 職員一人ひとりが、できるだけ財源を見つけてくるような姿勢が必要。
  • 公共施設の更新計画について、宮崎市ではかなり先進的に取り組んでおり、施設1つひとつについて地域自治組織のニーズを踏まえながら更新すべきかどうか、更新するとすればどのような形にするかを考えていこうとしている。ぜひ参考にしてほしい。


以上、「奈良市まちかどトーク 総合計画と行財政改革」のレポートを3回に分けてお届けしました。
当日はクリスマスにも関わらず、担当職員のみなさま、市民のみなさま、たくさんの方にご参加いただきありがとうございました。
この学びを活かし、よりよい奈良市の未来のために何ができるのか、それぞれの立場で前向きに取り組みたいですね。

*1:「第四次総合計画」・「NARA NEXT4」については、「レポートその1「奈良市第四次総合計画について」(奈良市総合政策課)」をご参照ください。http://d.hatena.ne.jp/nara_mirai/20140101

*2:行財政改革については、レポートその2「奈良市行財政改革について」(行政経営課)をご参照ください。http://d.hatena.ne.jp/nara_mirai/20140102