10月例会報告「国債と財源について」中村哲治


10月例会は、2015年10月30日(金)に、元・国会議員の中村哲治(なかむらてつじ)さんをお迎えし開催しました。



国債と財源について」 発表/中村哲治さん 


●結論


①「日本は当面ギリシアのようなデフォルトに直面することはない。
②しかし、現実には財政赤字とそれに伴う財政破綻がクローズアップされ、社会保障費などの支出が抑えられ、消費税増税など国民に負担が強いられている。
③今必要な施策は、増税や緊縮予算ではなく、幅広く国民に恩恵がゆきわたる社会保障費や教育への投資である。

①の理由
国債の債権者は日本銀行など国内の金融機関である。
・日本は債務国ではなく、むしろ諸外国に貸し付けている債権国である。
・貿易黒字などにより対外純資産残高も潤沢である。(世界一24年連続)
ギリシアはユーロ圏であるため自国で通貨を発行できないが、日本は発行できる。(いざとなれば日本銀行券の発行により急場を乗り切ることが出来る)



●Q&A


「なぜ銀行は国債を引き受けるのか?」
国債金利が付き、いつでも現金に代えられる。(定期預金と同じ)


国債発行の問題点とは?」
・流通するお金を増やすことになるので,インフレの可能性がある。しかし、少子高齢化格差社会により流通する通貨が減少し、インフレの可能性は限定的か?


「地方債も同じか?」
・地方は通貨を発行できないので国債と根本的に違う。ゆえに、国税を地方交付金などによって公平に分配し、市との縛りもなくすべきだ。


「なぜ取り立てがないのか?」
・債権の額が大きすぎるから。


「税金の使途をチェックする必要はないのか?」
・利権の為に使われているのが現状。使途の格付け・公開を行い、政府の効率化をはかるべき。



●その他


・黒田総裁が就任して2年6ヶ月、金融緩和などによってマネタリーベースの増加額(政府の投資額)197兆円に対して、マネーストック(実際の流通額)は86兆円しか増えておらず、十分効果かを発揮しているとは言えない。


・例えば、信用金庫における金融取引は,民間に対しては30%で残りの70%は国債である。国債分をもっと民間にまわす施策が必要」


・本来国債の用途は限られない。教育の無償化(大学まで)。社会保障の無償化。地方自治体の自主財源の拡充。原発廃炉費用の捻出も可能。


・消費税は、起業家にとって大きなハードルになる。消費税のないアメリカや少ないカナダの起業家率は高い



●感想(川波さん)


・国の財政は額が大きすぎるため、一般人の感覚からかけ離れていることが改めて実感できた。


・当面ギリシアで起こったような財政危機の可能性が低いことは分かったが、増える一方の国債と通貨、それを担保する物は何かと言うことがよく理解できなかった。