「議会改革フォーラム」を開催しました。


2012年4月28日(土)に奈良県文化会館で「議会改革フォーラム」を開催しました。ゴールデンウィーク初日の当日は、汗ばむぐらいの快晴。会場は駅から奈良公園に向かう途中にあり、通りは大勢の観光客で賑わう中、議会の未来を案じる市民・議員が一同に集い、3時間に渡る真剣な議論が交わされました。

 第一部 基調講演 廣瀬克哉 法政大学法学部教授

「市民自治の強化とこれからの議会改革・議会基本条例」

まずは、基調講演「市民自治の強化とこれからの議会改革・議会基本条例」を廣瀬克哉先生から。
フォーラムの前日にも、奈良県議会主催で議会改革をテーマにした勉強会があったそうです。
300人ほどの議員さんが集まり議会のあり方を問う声が高まっているようで、世の中全般に議会改革の機運が広がっているかについては疑問も残るとのことです。では、議会は、どうあればいいのか。以下、ごくかいつまんでご紹介しておきます。


議員が何をやっているのか、市民からはその仕事が見えにくいのが現状。市が出して来た議案に修正・可決すらほとんどない議会もあるそうです。大切なのは、市民との対話。公開の場での議論によって、町の政策課題がどこにあるのか、この議員はどういう価値観を持っているのか、自分はどの人の意見に納得するか、ポイントを抽出してもらうことで、自分なりの意見が持ちやすくなるという点は、とても重要です。ポピュリスト的なナポレオンの時代にイギリスでは地道な議会政治が芽生えた。これが民主主義の回路。

行政はひとつしかないため、ぶれない価値観を求めますが議員は複数。だからこそ、違う目で行政を監視しできます。また、当選議員の意見だけでなく市民の声も判断材料のひとつ。これも幅広く意見を求めるべき。利害関係の対立する人の意見を聞いてこそ。市民からの働きかけがある奈良市議会は幸運ですが、通常は議会が市民との対話を仕掛けていくことが求められています。

議会改革というと議会基本条例。規則の改正や委員長の裁量でできることも多数あることは忘れてはなりません。とはいえ、条例は最上位の一方であり、市民の権利を守るものです。財政が厳しくなり、従来のお任せ政治では回らず、負担の調整が政治に求められます。価値観の違い、様々な意見を持ち寄って調整をし、最終的な決着をする場として、今後、議会はより重要な役割を果たすべきです。



第二部 パネルディスカッション

パネリスト
   浅野詠子(フリージャーナリスト、奈良教育大学非常勤講師)
   天野秀治(奈良市議会制度検討特別委員会副委員長)
   木原勝彬(政策研究ネットワーク「なら・未来」代表幹事)

コーディネーター
   廣瀬克哉(法政大学法学部教授)


後半はパネルディスカッション。

まずは天野議員より奈良市議会制度特別検討委員会の進捗状況をご説明いただきました。できることはすぐにという精神で、議会だよりの刷新、議会の映像配信、議案書の市民公開などの改革に取り組んでこられました。なかでも委員会の生中継は全国的にも珍しいそうです。議長汚職が問題になりましたが、これは立候補制に。また、今後は政治倫理条例の修正を検討していくとのことです。課題は親族の請負規制。議会基本条例は作業部会を設置し、来年3月を目標に、現在は前文の議論をしている、ということでした。最後に、5月に議員が街頭に立ち市民アンケートを実施、3000人を目標とするので、ご協力ください、とのことでした。





浅野さんからは、奈良市議会の改革は遅れた改革ではあるが、スピードの早さは評価してよいのではないか。遅れた原因を探ってみると、住民参加を必要としない勢力が長年奈良市議会を牛耳ってきたことが議会改革を阻んで来た挙げられる。奈良市中核市だが、近隣の小都市の議員との交流も議会改革の鍵ではないか。奈良市の財政は中核市ワースト1、2位を争っているほどに悪いが、これを問題を共有化できる機運としたい。ただし目的はあくまでも財政健全化ではなく、自治体の進歩である。議会基本条例については、市民との直接対話が柱。議会が発信。地方自治への取り組みは、昨日、今日ではなく、10年、20年前から地道に行われて来たもの。地方から日本を変える。国を変えていったらいいなあ。世界遺産のある都市、奈良市のこれからに期待したい、とのことでした。


その後、「なら・未来」の木原を交えたディスカッション。議員の意識のありよう、議会基本条例、市民参加のあり方などが議題に挙りました。会場からも質問が。「議会を定刻に始めるという当たり前のことができない奈良市議会の体質にそもそも問題があるのではないか」、「議員がアンケートをするそうだが、関心が初めから高い市民にしか届かないのではないか」など、厳しい指摘も。とはいえ、改革が目に見えて進んで来た奈良市議会。せっかくのチャンスです。市民もしっかり後押しをし、うわべの変化に捕われないように、改善すべき風土が改善されたか、市民のための議会になっているか、市民の意見がどのように汲み取られていくのか、注目したいと思います!これからまだまだです!!



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