第1回行政改革市民会議「構造的な財政危機をどのように克服するのか?」を開催しました。
遅くなりましたが、前回の第1回行政改革市民会議のご報告です。
第1回行政改革市民会議が5月26日に開催されました。今回は「行政課題を検討する」シリーズ①として、「構造的な財政危機をどのように克服するのか?」をテーマに設定しました。
最初に課題設定として、奈良市財政を楽しく学ぶ会の加門進二郎コーディネーターが、市民による財政白書づくり*1 を通して見えてきた奈良市財政の課題などを発表しました。
奈良市の経常一般財源に占める歳出割合を見ると、他の中核市に比べて多いのが人件費、物件費、公債費。加門さんは、「高い人件費と物件費(委託費が多くの割合を占め、第二の人件費と言われる)に見合うだけの市民サービスが提供されてきたのか、市は説明責任を果たすべき」と指摘しました。
次に、高浜市企画部地域政策グループリーダーの岡島正明さんが基調講演を行いました。高浜市は2005年度から、財政力の強化・住民力の強化・職員力の強化を理念として構造改革を進めました。*2
その主な内容は、①アウトソーシング戦略 ②地域内分権の推進 、③組織構造改革、④受益と負担の改革、⑤人事・給与制度改革の5点です。これらの取り組みによって、市税収入に占める人件費の割合を30%以内に維持すること、地方債5億円を繰上償還することなどの目標を達成しました。
同時に、職員が積極的に新しいことにチャレンジする風土が培われるとともに、各小学校区でまちづくり協議会が設立されるなど、住民力と職員力の向上にも結びつきました。
続いて奈良市行政経営課の木綿課長が、第5次行革大綱について説明。スパイラルダウンからスパイラルアップへの転換を目指し、経営資源としてのヒト、モノ、カネ、情報の有効活用を図っていくとのことです。数値目標としては、平成27年度決算で経常収支比率を95%以下、将来負担比率を200%以下にすることなどが示されました。
休憩を挟んでのディスカッションでは、奈良市に対して「数値目標が甘すぎるのではないか」「目標設定のプロセスを市民に明らかにすることが大切」などの意見が出されました。また、高浜市の改革に対する賛同と質問が相次ぎ、岡島氏からは「協働自体が目標ではなく、協働によって住民に喜んでいただける成果を上げることが目標」「変えることで市民が喜んでくれたり市民に褒められる体験をすれば、前例踏襲しかできなかった職員も変わることができる」といったアドバイスがありました。
より詳細な報告は、第2回目(6月23日)の行政改革市民会議の資料としてお渡ししています。