行政改革市民会議〜閉塞する行政組織風土をどのように改革するのか?〜を開催しました

6月23日(土)午後1時半より、奈良市はぐくみセンターで、第2回となる行政改革市民会議「閉塞する行政組織風土をどのように改革するのか?」を開催しました。同志社大学政策学部教授の太田肇を講師に迎えごご講義いただいた後、奈良市の外良人事課長より、奈良市の現状をご説明いただきました。当日の参加は、職員や議員、市民など30名弱。後半では、奈良市の人事制度について課題解決策を話し合いました。


冒頭に課題設定として、「なら・未来」の北井弘から報告をしました。残念ながら不祥事が続く奈良市。また、全国的な公務員バッシングなど、ややもすると糾弾をするような空気があるのではないか。そうではなく、職員の方には創造的な活躍をしていただき市政を良くしてもらいたい。また、それが市民にとっても利益につながる。それが今回、このテーマを会議に取り上げた理由だ、と申し上げました。


続きまして、太田先生からご講義をいただきました。


基調講義「”やる気”を引き出す公務員改革」
太田 肇氏(同志社大学政策学部教授)


太田先生の研究テーマは、組織論、モチベーション。*1 太田先生も、待遇の引き下げなど、批判ばかりされがちな公務員だが、大事なのは、やる気を出して市民や地域社会に貢献をしてもらうということではないか?と繰り返しおっしゃいました。


成果主義を導入せよ、と言われるが、お金で人が動くという考え方が前提にある。しかし、公務員がやる気を出す動機は果たしてお金だろうか?住民からの感謝や尊敬も報酬ではないか。また、日本の公務員は、欧米や韓国と違い、仕事の範囲が不明確である。必ずルールを守り遂行する仕事と、その人の裁量に任せる部分を明確に分ける。そうすると、個人が伸びる。



また人が減り、仕事が増える中では、何を優先するかを明確にすることが必要。上司の目線を気にして内向きに仕事をしがちだが、外に出て市民と接して行くことも大切。



プロフェッショナルというものは、組織の枠を超える。雇用保障は必要だが、やる気のある人は外へ!大きな夢や目標がある方がモチベーションも高くなる。いかにやる気を出してもらい、市民に貢献してもらうかという観点からの議論がもっと必要ではないか。


前向きで力強いメッセージを戴きました。続いて、「奈良市の人事制度改革への取り組み」を外良人事課長よりご報告いただきました。不祥事問題や、人事考課・人事評価制度など、課題は認識しておるところで、今後、ワーキンググループを開き、計画的に検討を進めていく予定、とのことでした。


その後、後半の意見交換へ。


太田先生からは、奈良市の人事制度について、もっと一人一人の仕事ぶりをオープンにしてはどうか、という示唆をいただきました。たとえば武雄市では、運用のガイドライン*2 をきちんと設定した上で、FACEBOOKtwitterを積極的に導入とのこと。また、管理職が多くなりがちだが、組織がトップダウンであるよりもフラットな方が、職員のやる気、意欲が高まるとのことでした。組織のタテワリに捕われない「プロジェクト・チーム」も、職員のキャリア形成に有効という研究があるそうです。


参加者からの質疑応答では、人事行政を担当していた方の実例、目標設定の重要性、不祥事の原因分析は行っているのか、業務量を把握しているのか、職員を守るしくみはあるのか、重要課題に対する行政の最高意思決定はどうなっているの」、どの自治体から学ぶべきかー、などなど。参加者には奈良市の職員の方もおり、意見、質問をいただきました。



より詳細な報告は、次回の市民会議の資料として配布する予定です。次回は、同じ会場で7月21日(土)に開催します!!

*1:太田先生の公式ホームページはこちらです。「組織を変えないと日本はよくならない!」http://www.h7.dion.ne.jp/~ohta/

*2:武雄市における情報発信に関するガイドラインhttp://www.city.takeo.lg.jp/etc/pubguideline.pdf 元は、千葉市のものを参考にされたそうです。