レポート【市民と議員の条例づくり交流会議in宝塚】

  

 10月19日、20日に「市民と議員の条例づくり交流会議in宝塚〜“歌劇のまちで語る 議会の今、そして未来”」宝塚市で開催された。「なら・未来」にも、今までの活動報告をして欲しいとの要請があったということで、どんな交流会議なのかとの興味もあり宝塚まで出かけた。この交流会に参加している議員の方々からは、まじめに議会改革をしようとされている雰囲気が感じられた。以下、特に印象に残っていることを中心に報告する。




 まず、廣瀬克哉先生(法政大学法学部教授)の講演「議会改革の次の一手 宝塚で何を学ぶか?」は以下の内容であった。

  • 議会基本条例が全自治体の4分の1、市議会の3割以上、都道府県の過半数が制定済みであり、議会改革は着実に普遍化しており、特に、議会報告会の開催や議会への市民参加、一問一答方式、反問権、自由討議など審議の活性化が盛り込まれている。また、通年議会や議決事件の範囲拡大(法定受託事務も可)などの議会制度の整備も進み始めている。
  • しかし、議会と市民の距離は縮まったか。実態は、議会報告会に人が集まらない、パブリックコメントに反応が少ない、議会改革といえば定数削減と報酬引き下げという声ばかり、そして、選挙の投票率は下がり続けている。議会とは、自治体の政策意志を集約・調整し、決着する場である。

 

  • 行政も要望を出す主体の一つであり、その「やりたい人」の言い分だけで判断するのではなく、行政、市民、専門家、利害関係当事者などからの多様なインプットを議場に出して、議会での議論と議決によって集約、調整する場が議会。判断材料を集めて裏付けがとれてはじめて議案を可決する。

 

  • 選挙で選ばれた「普通の人の代表」が仕事をするためには、その人を補佐する人員が必要。二元代表制のもとでは行政とは別の機構が本来必須。公務員として整備するのが難しければ、地域社会のためにそのためのネットワークを作ろう。





 次に開催された分科会では、「なら・未来」は分科会【C】(市民→市民「365日の主権者であるために」)
に参加した。ここでは、「なら・未来」の以外の活動報告の紹介をする。


①市民オンブズ尼崎「あなたがつける議員通信簿」

議会の傍聴による議員通信簿をベスト・ワーストランキングとして市民に報告したとの内容であった。会員70名、実働10名、月1回定例会を行っている。今年の6月の市議選では、ランキング票をほぼ全戸(23万戸)ポスティング(一部有償)したが、まだまだランキングが生かされた結果とはならなかったのが現状である。


京都府長岡京市の「新しい議会スタイルを考える市民会議・長岡京

「市議選もりあげ隊」の活動報告があった。

 <立候補者と市民の対話集会;カタリバ>
  参加者 候補者 11名(立候補者28名)
      市 民 50名
      スタッフ 7名
  方 法 市民、候補者ともに3グループの分かれ、車座で議論。
      1コマ35分(候補者政策発表15分、質疑20分)
      ワールドカフェ方式で3コマ、候補者のみが動く。

 <選挙結果>
投票率は過去最低の49.86%であった。(立候補者28名 当選者24名)
  カタリバ参加候補者 11名(当選者  8名)
  アンケート回答者  15名(当選者 12名)
 であった。

 「なら・未来」も含め、市民から議会改革を求める活動は動き出しているが、まだまだ市民全体に浸透、波及していないというのが事態である。今後は、継続しながら、市民全体にどのように浸透させていくのかが大きな課題である。これには、議会側からの市民へのはたらきかけと同時進行でないと、なかなかうまくいかないように思う。


(レポート・大浦悦子さん)